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転生王女と赤い薔薇

+2+ 黒装束の襲撃

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 畑を過ぎ、街に入る。ここでも行われていた収穫祭の片づけが済んだらしく、往来は閑散としている。この国の道路は、間違ってもアスファルトで舗装された黒光りする道ではないわ。当然、自動車なんてものもない。西部劇に出てくるような簡素な木造家屋の建ち並ぶ街なの。
 総勢八名のロバの群れが二列ずつ砂埃を舞い上げながら進んでいくと、城へ続く坂道が見えてくる。この辺りは商店も住宅もないから、国の心臓部だというのに夜は薄暗くて人気のない難所なんだ。まあ、お城とは目と鼻の先ですから、警備は厳重なはずだけど。

 ところが、そう思った矢先、坂道手前の四辻で事件は起こった。
 突風とともに四方から黒装束の人影が飛び出してきたんだ。私たちは取り囲まれて、ロバはびっくりして足を止めた。近習たちはロバから飛び降りてすぐさま短剣を構えた。普段はおくびにも出さないけれど、武術の心得がある侍女たちなの。私もお忍びが高じた冒険者の端くれとして短剣くらい扱えるんだけど、驚いてすくんでしまった。だって、主犯格と思しき者が、私の正面に仁王立ちして睨み付けていたのだから。その瞳は深紅に染まり爛々としていて、まるで狙った獲物は逃がさないって宣言しているみたいだったわ。
 黒尽くめの者たちは一様に腰から曲剣を引き抜いて構え、飛びかかろうとしていたのだけれど、私はその動きに微妙な違和を感じていた。というのも、戦意を感じないし、刀剣に手練れた雰囲気でもなかったの。

 そこへ、鋭い笛の音が響き渡って、敵も味方もその方を一斉に振り向いた。
 城の衛兵と自警団員達が大勢やってくるのが見える。魔法戦士の近衛兵は杖を片手に馬を駆けさせ、一方の自警団は棍を腰に下げ縄を振り回しながら息を切らして走ってきた。近衛兵は普段は城に常駐していているんだけど、祭りの後で点呼を取っていたのかもしれない。同じ方角から近衛兵と自警団が一緒にやってくるのは稀。
 ふと視線を戻したら、そこには人っ子一人いなかった。先ほどの異様な風体の者達は何処ともなく消えうせていたんだ。
「おい、お前ら、大丈夫だったか?」
 怯えているロバをなでさすろうとして、あまりの汚さに手を止めたのは自警団長ヴァレル。
「お前たちは旅商人のようだが。何か盗られた物はないか?」
 馬上から、冷たい視線で見下ろす近衛兵第二師団長ケイプ。臭いが酷くてこれ以上は近づけないといった渋面だった。二人とも実力はそこそこ、よく知っている顔だわ。
「ああ、ない」と、積荷を確認した近習が答えると、
「あやつらは、どっちへ行った?」と、深刻な顔で訊ねるので、私はおもむろに風の流れていった方向を指差した。正直、彼らは煙のように消えたので、どこに行ったかはわからなかったのだけど、ヴァレルとケイプ、彼らの部下達は通りを一気に駆けていった。
 しかし、城下において私たちの風体ほど不審な者達もいないのに、黒装束の者達だけ追われるのはなぜなのよ?私達砂漠のキャラバン隊は、どこをどう見ても怪しい集団じゃん。ヴァレルたちに職質された時のために言い訳を考えていたのだけど、杞憂に終わったようだ。意外に粗い警備体制だと思う。

 ほっと胸をなでおろすと、
「日が暮れます。早く戻りましょう、オリビア姫」と、近習の一人は私のロバの手綱を引っ張って、急かしたわ。
「わかっていましてよ」
 私は、顔を覆う布を静かにはいだ。侍女の言う通り、夕闇が迫り肌寒くなってきた。
ふと、先ほどの主犯格の人物の目を思い出し、私は小さく呟いた。
「……赤い瞳……」と。
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