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転生王女と赤い薔薇

+4+ お兄様の荒療治

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「一体何時だと思っているのだ。オリビア」
 お兄様は私を執務室に呼んだ。彼は侍女に命じて、毒虫に刺された手の傷口に薬を塗りこめた。
「ひっ」
 ひどく沁みる塗り薬だ。痛い毒消しでなく、白魔法で直してくれればいいのにと歯噛みしたが、これもお兄様に言わせればお仕置きのひとつ“荒療治(あらりょうじ)”なのだから、たまったもんじゃないわ。
「いつまでも自覚のない妹(こ)だ。可愛い妹には違いないのだが、いかんせん、王女という身分を忘れて昼夜を問わず郊外を出歩くとは。たとえ、お前が町娘だとしてもだ。こんな夜更けに帰ってくるのはふしだらな女性のすることじゃないかね?」
 お兄様は嫌味を言いますと、つと窓に近づき、銀色の窓枠に手をかけて空の様子を伺っていた。
 エドガーお兄様は少し痩せぎすな長身で、こういう姿勢はとっても絵になるんだ。顔立ちも繊細でフランス映画の俳優さんみたい。私がうっとりと眺めていると、視線に気づいたお兄様が振り向いて、何にもわかってないという風にため息をついた。
 手当が終わって侍女が退くと、彼は私の座るソファーに歩んでおっしゃったわ。
「僕はお前を心配しているのだよ。何がしたかったのか、言ってみなさい」
 私はお兄様の顔を見上げた。平静を装っているようだけど怒っている、冷たい目をして。
 でも、前世では同じ年頃の高校時代、放課後に塾に通ってもっと遅い時間に帰って来ましてよ。と、お兄様に説明しても無駄か。この世界は厳格な身分制度があって、親の地位や職業を子供が受け継ぐから、“お受験”なんて無いもの。それに、私たちの両親はもう他界しているので、お兄様は私の保護者のような気持なのだ。心配するのも無理はない。
「たいしたことじゃありませんわ。でも、前から知りたかったことなの」
 私は少々表情筋を演出して、ためらいがちに言った。
「だけど、お兄様に訊いたって、ハンプティに訊いたって、答えられないことよ」
 ハンプティとは、この国の大臣のこと。名前はよく覚えていないんだけれど。
 え、何年この世界で生きているのかって?
 だって、小さい頃からずっとハンプティで通していたからね。首が無く腹が出ていて、つまり卵のように丸みを帯びた体に、短い手足がごつごつ生えているように見えるのだもの。前世の童謡マザーグースのハンプティ・ダンプティから命名したのよ。誰も名前の意味を知らないけれども、私は大臣をそう呼び続けてきた。
「どういうことかね」
 お兄様は腰を曲げて、疑わしそうに私の顔を覗き込んで言及したわ。
「私はね、エドガーお兄様。お祭りで運ばれてきた立派な神輿やら騒々しい鳴り物やらが、どこから来たか、どうやって片付けられるのか、最後まで見届けたかっただけなの。普段はどこに収められていて、鳴りを潜めているかをね」
 お兄様は私の言い分に納得してない感じだったけれど、少し落ち着かない様子で、私から目を逸らした。
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