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転生王女と赤い薔薇

+9+ 就寝前の一仕事

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「オリビア様、よく眠れるように今日作られたお花の香水を振りかけましょう。きつすぎないよう二、三滴。ハシバミ色の御髪と真っ白なお手、そして胸元に一滴。お部屋には、白檀のお香を焚き染め、ハーブティも温かいのをご用意していますよ」
「ん。ありがと」
 前世が中流階級以下の庶民だった私は、未だに香水を振りかけて生活するのに慣れない。中世の西洋貴族たちは滅多にお風呂に入らないがために、香水は必須だった。故にヨーロッパは臭う大陸だったなんて揶揄されていたけれど、この世界は前世でいうところのファンタジーで、幸運なことに日本人が大好きなお風呂が習慣としてあった。本当、ラッキーだわ。
 私は純白のネグリジェに腕を通して、するりと身に纏うと、ろうそくを持つ侍女に連れ立ち、浴場を後にした。

「おやすみなさい、セリーヌ」
「姫様、お香の始末はいかがなさいますか?」
「いいの。もう眠るだけだから。明日片付けてくれる?」
「かしこまりました。それでは失礼いたします」
 廊下に出る侍女。そして扉はゆっくりと閉じられていく。
 私は侍女から渡された燭台を持って寝室に足を踏み入れる。
すぐ左脇の壁に添えつけられた燭台に火を移してもまだ薄暗い。部屋が広いから、奥のベッドに行くまでに、いくつもの明かり取りがある。しかし、面倒くさかったので、私は手に持つ明かりを頼りにベッド脇の机に辿り着いた。
 机の上に燭台をそっと置き、椅子に腰掛ける。空気が流れて炎が揺らいだ。
 目の前に、手紙が束ねておいてあった。私は、それを丁寧に紐解き、宛名を見る。全て自分の名前が書かれている。立派な羊皮紙の封書から、粗末な紙切れまで、私に愛を注いでいる。これらは全てラブレターだ。毎日、相当数送られてくる。
 私の美貌の噂だけを信じて、実らない恋に思いをはせるのだわ。会ったこともないのに、よくこんな熱烈な愛の言葉を並べられること。あなたの胸に祝福を受けたいだなんて、私の御胸を見たことがあるのかしら?こんなに送られても、王女はお国のために政略結婚する宿命なのだし……。どうせなら、前世でもてたかったわねえ。
 私はため息をつき暖炉に近づいた。もうそろそろ肌寒くなる時期だが、薪はくべられていない。私は、手紙の束に蝋燭の火を移すとそのまま暖炉に入れてしまった。燃やしきると、灰の中にもぐった火は自然と消えた。

 ふと、気配を感じ、私は後ろを振り向いた。
「誰かいるの?」
 部屋は静まり返り、物音ひとつしない。きっと、嵐の前兆で神経が高ぶっているだけなのだわ。
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