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転生王女と赤い薔薇

+16+ 麗しい美少年

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 私の居室(きょしつ)に――牢屋とは言わせないわ――、近づいてくる足音がする。二人。きっと、ランウェルとシャインね。だって、そういうシナリオだもの。
 とはいえ、台本通りには進まないけど。なぜって考えたら、私の身の振り方がおかしいからかもしれない。何でも知っている神様みたいな存在が、未来のことを知りながら駒を進めていたら、上手くいくことも下手をするかもしれない。ここは大人しくしておいた方がいい。それとも、小説どおりに振舞うのが正解かしら。

 予想どおりランウェルとシャインが明かりを手に階段を下りてきた。ふ、やっぱり、この子たち……。
 初々しいわー!好みの男の子だわー!(By ショタコン)
 と、喜んでいたら、ヒロインは彼らを怖がって部屋の中をぐるぐると走り回る、という一節があるのを忘れていたわ。まあ、三畳の牢獄ではそんなスペースもないけどね。オペラ座のドアボーイみたいな美麗かつ健気な少年たちにうっとりと見とれていたら、シャインがその視線に気づいてドン引きしているの。彼とは初対面ではないのだけれどね。でもまあ、そういう及び腰な仕草も可愛いから許す。
 二人ともやはり髪が炎のように赤く、瞳はルビーのように光っていた。
「オリビア姫、料理です」
 ランウェルは機械的にそう言って、鉄格子の下から皿を一枚差し入れた。
 え?
 私はまじまじと皿の上のものを見る。
 麦飯の上にエビと白菜の餡かけ。なんかちょっと中華風。って、これ一品だけ?
「俺たちの賄(まかな)いです」
「でしょうね」王女のために、特別に作らせたものとは思われない。
「……」
「デザートは?」
「デザート?」ランウェルは驚いたように私を見た。
「プ……プディングとか。それと、飲み物は?」
「水なら……」
「ゴクリ」
 彼は水差ししか持ってなかったの。コップがない。それに口をつけて飲めと?
 ねえ、待って。タンマ!私がいくら選択を誤ったからって、これはひどくない?だって、小説では、フォアグラに玉ねぎのスープ、海鮮マリネは鉄板(てっぱん)だったわ。パンも食べ放題だったし――ヒロインはそこまで大食いではなかったけどね――。勿論、デザートはさっき言ったプディング。オレンジとパイナップルのジュースも持ってきてくれた。とても清潔で居心地のよい部屋にヒロインが囚われていた時に出された、ご馳走を想像していたのに。私の目は闇の中で俄然遠くを見据えた。
「まあ、長い船旅でしょうし、搾りたてのジュースなんて、いくらなんでも出ませんわよね」
「僕はよく飲みますけどね」
「へ?」シャインが口をはさんで、ショタコン正座して待機。
「あ、僕たち若輩の徒は、朝食にグレープフルーツジュースやココナッツミルクを飲むんですよ。成長期の僕たちにレッドローズが配慮してくださって」
「ああ、そう。仲間内には優しいのね、彼」私はむすっとしましたとも。ええ。私の憤怒にショタがびくついたわ。
「兎に角」ランウェルは言葉を切っていった。
「あなたはきっと、お城で夢のような暮らしをしていたのかもしれませんが、この生活に早く慣れることです。いくら不満を垂れていても、状況は変わりませんから。慣れるしかありません」
「……ごもっともね」本当、異論の余地なし。私の適応能力が試されているのだ。
 物わかりが良い、とランウェルも納得したようだ。シャインが、恐る恐る私の方にランプを差し出した。
「あら。ありがとう。このまま、暗闇生活でモグラになっちゃうかと思っていたわ。ゾーンが伝えてくれたのね」
「レッドローズの気遣いです」シャインは悪びれず言ったが、あの男の名前は嫌い。蹴られたお尻がまだ痛いもの。
「あなたたちは彼を尊敬しているの?」言わずもがな、と二人は首を縦に振った。
「そう。悪く言いたくないけど、レディーの扱いに関しては、彼を見習わないでね」
 シャインはきょとんとしていたが、ランウェルは目を僅かに側め口角を上げた。シャインの純粋さも好きだし、ランウェルの年の割に世知たけ生意気そうなところもまた良い。
「では、失礼いたします」二人が去っていく。
「また来てね……」
 もう少し話していたいけれど、今の私のような惨めな女に付き合っているほど、彼らも暇ではなさそうだわ。
 心細いわあ、とため息をついてしまう。餡かけを口に一匙、またため息。冷めているけど、不味くはないわ。うん。ランウェル君が作ったのかしら。
 きっと小説に出てきたご馳走も裏側で誰かが一生懸命作っていたんだわ。創作の世界であるファンタジーも華やかな世界のように見えるけれども、実際には湖面に浮かぶ優雅な水鳥の水面下における必死な足掻きにも似た隠された行間があるんだってことが、少しわかったような気がした。
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