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転生王女と赤い薔薇

+17+ 悪魔のような男

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 それから何日か立ちましてよ。ええ、しばしお待ちを。
 私は牢屋の奥の柱に刻み付けた跡をなぞって数えた。早幾年(はやいくとせ)?……あら、まだ五日!しかしながら、私は多分に音を上げていてよ。
 どうやって柱に刻んだかというと、ドブネズミが齧(かじ)っていたガラスブイがあったでしょう。あれを正拳突きして割ったんだ。爾来(じらい)、ネズミは恐れをなしたのかやってこなくなったわ。私が本気を出せばこんなものよ。そのガラスをメリメリ突き立てて、日々復讐の誓いを立てているの。
 もし、これ以上の辱めを受けようものなら、その時はこの凶器で頸動脈を掻き切ることさえ辞さないわ。
 って、ちょっとかっこ良く言ってみたけど、あなた達には打ち明けとく。私の惨めな生活を。汚物に囲まれて寝起きする私のもとに一日二食、賄い飯という名の残飯が運ばれてきて、二人の美少年とお話しできる時間は一日大体三十分のみ。貴重なおしゃべりタイムの後は、黙然と座禅を組んだり、太極拳をしてみたり。ええ、四十八式の方をね。朝も夜も区別がつかなくて、疲れもしないから、瞑想で心を鍛えているのだけれど、どんなに煩悩を振り払おうとしても、一つのことが私の心を悩ませる。
 うん。当たり。レッドローズへの復讐。
「この恨み、晴らさでおくべきかああ」
 と、誰か来た。少年たちはさっき帰ったばかりだし、あいつだわ。寝たふり、寝たふり。
「聞こえてたぜ?」くすくすと陽気な笑い声が聞こえる。
 それでも眠り続ける私に、ランプをかざしてくる男スクイナフ。彼はシャインのお兄ちゃんなんだけど、しつこい奴で得意ではない。食べ終わった食器などを片付けに来るの。あと、コホン、排泄物とかね。私も一応、生き物ですから。
「あんた、今日はした?」
「いい加減にしてよね」私はうんざりしながら、答えた。
「やっぱ起きてたか。ほい、皿にゴキがたかってるぜ」
「ふざけるない!!」
「おいおい。人質のくせにそんな口利いていいのかな?」
 スクイナフは、皿を手前の布巾ではたきながら虫を追い払った。ああ、もう最悪。
「それでも限度ってものがあるわ。人質でも人間なの、女なの、王女なのよ。もっと気を使ってよ」
「でもさっき、ババアの声で“恨み晴らさでー”って」
「おばあさんだって人間よ。それに私はまだ16歳。生粋の乙女なんですから」
「自分で言うことですかね」にたっと笑いながら、スクイナフはしゃがみ込んだ。イケメンのくせに性格が残念だ。この男はおしゃべりなだけ、生涯様々な不興(ふきょう)を買うことだろう。
「あんた、たまに変な体操しているってね」男は話しかけるのをやめない。
「え?」
「聞いたぜ。ゆっくりと体を動かして……」
「ああ、太極拳ね」
「あんたの国に伝わるものなのかい?」
「いいえ。って、別にどうでもいいでしょ?私に関心があるなんて、変わっていますわ」
「変わっている?バカ言え。みんな、あんたに興味を持っているよ。ここに入れられると、三日でおかしくなるからな。まあ、平均三日だから当てにはならんが。まだ五日しか経っていないしな」
「私の心が壊れるのを楽しみにしているってわけね」復讐を誓う理由がまた一つ増えたわ。
「ま、そういうわけじゃないけど。でも結構、根性あるんだなーって感心した」
「ふーん。あっそう」私はつまらなそうに言った。しらける。こちらの身にもなってよ。
「それでなんだけど、ちょっとご褒美を持って来たぜ」私の気を取り直そうと思ったのか、少し慌てて懐からあるものを出した。
「あ!!杖!」
「返してくれるの?」思わずあげた叫びは裏返ってしまった。
これで毎日縦ロールできると思うと、スクイナフに感謝してもしきれない。今の私は、麻紐で髪を一つに束ねているだけで、巻き毛が無秩序にとび出してみっともないったらありゃしないもの。返してくれたら、彼への復讐は撤回してあげてもいい。
「そんなに喜ぶとは思わなかったよ」男は嬉々として、鼻高々に杖を振り回す。
「危ないわ。それを返して」私は鉄格子から両腕を出して杖を取ろうとしたが、スクイナフは体を反りかえして、ひっひっと笑った。
「嫌だね。これは見せただけ」大事そうに元の場所にしまい込み、私の顔をうかがっている。
「……ひどい。ひどすぎる」悪魔だわ。絶対に許さない。
 私は鉄格子から離れ壁際を向いて座った。奴の姿なんか見たくないし、同じ空気を吸いたくもない。
「なあ、悪かったよ。これやるから許してくれ」
 スクイナフは暗闇に何かを放り投げた。それは私の足元に落ちる。
 カエル?
 ぎょっとするのにも疲れてしまったが、よく見るとそれはカエルの形をしたチョコレートだった。乗船以来、初めての甘味(かんみ)だが、オリビアは地面に落ちたものを食しません!高貴なシャム猫よろしくぷいっとそっぽを向いた。
「ちょっとやりすぎたか」スクイナフはなぜか照れて、鼻を鳴らしている。
「あんたなんか、大嫌い!ふん。ここから出たら、まずあんたを殺すから。覚悟しておいてよ」
「殺す?バカ言え。腕力のない女が、どうやって俺を殺すよ?」スクイナフは、からから笑った。容赦のない男だ。だけど、私も負けじと言い返してやったわ。
「ふん。私がこの世界の仕組みを握っているというのに」
「仕組み?なんだそれ」
 ふん。転生してきたことなんか、誰が言うものですか。あなたたちヘレシーの事情なんて、どうせ私が前世で書いた底辺小説の筋書きなんでしょ。全てお見通しなのよ。
 スクイナフは興味津々に訊いてきたが、私が固く口を閉ざしたので仕方ないという風に立ち去った。本当に胸糞の悪い男。
「……国に帰りたい」私はぽつりと呟いた。気づかぬうちに涙が出ていた。
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