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転生王女と赤い薔薇

+21+ 白ゆりの雌しべ

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 ここ、どこ?
 暗闇……。
 四角い面から寒い光。ああ、ノートパソコンだ。
 キーボードを叩いているのは、前世の私?
 へらへら笑いながら、私は何で悲しい小説を書いているの?
*「あんたさー、片足墓穴に突っ込んでるよ?」
*「何度も何度も言わせないでよ。あんた」
*「あんたの泣き顔なんか見たくない。視界から消えてくれる?」

「あんた、あんた、言わないでよ。私だって名前があるんだから!」
 ガバッと私の体は跳ね起きた。
 ふう。ふう。ふう。
「ここ……どこ?」
「あ……あら、気が付いた。よ……良かった」
 窓のない白い部屋に白いベッド。そして、白い服のナース、或いは修道女。髪の毛は赤いけど。初めて見るヘレシーの女性は、ナイスバディで天使みたいに微笑んでいる。ちょっと引き気味だけど。
「あなた、どなた?」悪夢のせいか息を切らしながら、彼女に訊いた。
「シンシャ、といいます。サイザールの妹です」
「そう……」私は彼女の顔を見つめた。きっと、私のことはもう彼に聞いているのだろうな。
「……お加減いかがですか」
「うん……」悪いとは言いにくい。
「……」シンシャは、俯(うつむ)いて何か言おうと戸惑っているようだ。
「え、あ、まあまあ、良いかな」少しだるいけど。視界も揺らいでいるし。疲れかな。
「あの……私、船の中でのこと、お聞きしました。許せないです。彼らがあなたを牢屋に閉じ込めたこと」
「あ……」その件(くだり)まで知っているか。はあ。
 シンシャは憐れんだ顔で私を見るが、プライドの高い私は同情されるのも屈辱に感じてしまったりする。しかも、彼女は巨乳だ。タイトな服装だけに、体のラインが顕(あら)わになっている。
「いくら人間を憎んでいたとしても、していいことと悪いことがありますわ。あなたには何の罪もないというのに、オリビアさん」
「罪?罪だったら十分あるわ」
「え」シンシャは、目を大きく見開いた。目の中のルビーが一層光を放つ。
「無知は罪よ。私は世間知らずだったから、騙されたの。私が悪いのよ」
「……無知は罪?」
「そう」
 私の持論(じろん)に、難しそうに眉をひそめるシンシャ。とはいえ、美人は顔をゆがめても美人ね。
「シンシャ、悪いけど。私、もう少し眠るね。彼もまだ来ないんでしょ?」
「彼?」
「……」
 ああ、また言いすぎちゃったわ。先取りのし過ぎは未来を狂わす。もう、大いに歯車が狂っているわけだけれど。私が無言でこの場をしのげば、そのうちあやつが個別説明会をしてくれるハズ。なぜ、私を攫(さら)ったのか、私をどう利用するのか、いろいろ説明してもらおうじゃないの。私は横になって目を閉じた。沈黙を守るために。
 すると、シンシャは眠ろうとした私の額にそっと手を当てた。
「……オリビアさん」
「!?」私は体をびくつかせるが、彼女は無遠慮に髪に指を通す。なにい!予想外だ。
「本当に申し訳なく思っているわ。大切な御髪(おぐし)が……真っ白になってしまって。レッドローズも大変気にしていたわ」
「う……」
 そうだ。私は髪の色が抜けてしまったことを知って、ショックで気を失ったのだった。すっかり忘れていた。今の私は“白髪(はくはつ)”。断じて、“白髪(しらが)”ではない。NOTシラガ、BUTハクハツ。響きは違うけど、全然違……同じか。この体たらくときたら、まさしく処刑直前に白髪となったマリー・アントワネットだ。その逸話も作り話だなんて言われているのに。なんで、私がこんな目に合わないといけないの!
 そして、レッドローズの名前に全身で拒絶反応が起こる。シンシャの無自覚な精神侵食攻撃に、私の無敵艦隊ならぬ無力艦隊なる精神はあえなく沈没する。
「兄も気付いていれば、レッドローズに諫言したと言っていたわ。暗がりであなたの髪色が見えなかったって。それにしても、むごい仕打ちだと思います」
 まあ確かに、サイザールとは船底で会ったから、彼と一緒に甲板に出たときも、私のことを元から白髪のお姫様だと思ったのかもしれないよな。それはそれで残念だが。
「ここヘレシーベイスンでは、お医者様がいないので、あなたの具合を診察してくれる人もいないの。だから、無理なさらず、しっかり休んでくださいね」
 彼女は私の耳元でそう囁いて、しずしずと退室した。成熟した女の色香(いろか)にどぎまぎしたわ。
 白服のシンシャと白髪の私。花瓶に活けられた二輪の可憐な白ユリが向かい合い、濡れた雌しべを交差させているのは、今後の展開への暗示だろうか。
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