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転生王女と赤い薔薇

+26+ 集落逍遥

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「というわけで、姫様には気分転換をしていただかなくてはいけないのです」
 ジュナイは、ダイニングの椅子から軽やかに立ち上がると、傍らにあった白い手袋を嵌め始めた。
「別にいいわよ。気分転換なんて。そんなに退屈してないし」私は少し気乗りしないように言ってみたわ。
「でも退屈して……へ?」
 私も立ち上がると、彼のあごに触れた。ジュナイの声が上ずり、一歩下がった。
「自分からちょっかいを出すのは得意だけど、人からのスキンシップは苦手。あなたが道化のように振舞っているのは、本当は周りが怖いからでしょう?」
「な……何をおっしゃっているんです?オリビア姫」
 ジュナイ。あなたはチートな能力を持っていて、それがために仲間たちと衝突(しょうとつ)、とまではいかないけど、関係がぎくしゃくすることを恐れているのよ。まあ、三枚目というわけではないが、こういう役回りの存在は三文小説しか書けない底辺作家の考えそうな陳腐(ちんぷ)な設定よね。
「出来れば、“レッドローズ船長”とお話がしたいのですけど、まあ時間つぶしに散歩と参りましょうか」
私は、壁に立てかけてあったステッキを彼に握らせ、ハットを被らせた。
「付け髭は?」
「はい?」
 無断で彼の胸ポケットに手を突っ込む。驚く彼にかまわず、ちょび髭を取り出した。
「ほら。これを付けて、私を笑(わら)かしてみなさいよ」べっと鼻の下に髭を貼り付けてあげた。
「あなた。そんなことでは、自分のペースに持っていけませんよ」冷ややかな目で彼を見据えた。
「……」ジュナイは私にリードされたことにおろおろとしている。
「まあいいでしょう。出発進行!」私は顔色の失せた彼の背中を押して玄関へと誘った。

 こうしてようやく、家の外に出ることが出来た。一か月船底にいて、一か月船長の家に監禁されていたから、誘拐されてまる二か月経ったことになる。村の探検なんてわくわくしない訳がないが、あまり調子に乗りすぎると、しっぺ返しがあるかもしれないので、慎重に行くわ。
 村には、レッドローズが住んでいるのと同じような穴の住居と、木箱に野菜や果物を置いて売っている露店くらいしかなかった。宿屋や武器防具屋もないわ。
 旅人は来ないから宿屋は要らないし、ヘレシーは武器に頼らないので武器防具屋も必要ない。最低限、縄と小さなナイフがあれば生活できるのだということをジュナイは教えてくれた。
「へえ。その最低限の日用品は、どこで手に入れるの?」
「自分たちでこさえますよ。縄は藁(わら)や麻、蔦(つた)なんかを編んで作るし、ナイフは鉄を叩いて作ります」
 私たちは肩を並べて、赤茶けた土の道を歩いている。周りは草原で、遠くに畑が見える。ここまで歩いてきたが、昼だというのに人を見かけない。
「鉄はどこで入手するの?」
「そりゃあ、ここにはありませんから。鉱山に行くしかないです」
「鉱山って、もう手が付けられているところでしょう?盗掘(とうくつ)するの?」それとも、略奪するのかしら。
「まあ、そういうこともするでしょうね。私はやったことがありませんが。あるいは、交渉して」
「交渉?人間と?」私は少し驚いた。
「ええ。しますよ、普通に。支配者どもはヘレシーをこの世から排除しようとしているけど、話の分かる人間とは取引もします。共通言語は“金(かね)”です。金をちらつかせれば、言うことをきいてくれます。村では取れない作物とか薬とかを調達するのです」
「ふーん」金は天下の回り物、というわけね。
「そうそう。ブレイブタウンという街をご存知ですか?」
「ええ」私が頭の中で作った街だもの。ご存じも何もって感じだわ。
「ブレイブタウンは、あの山を越えたところにあります。当初はヘレシーの監視が役目でしたが、今では研究と称して我々とコミュニケーションを取ろうと試みる者達もいるのですよ」
「へえ。それは、実験台にするとかではなく?」
「ええ。マッドサイエンティストも以前はいたのですが、そういう意味合いではなく、我々を真に理解したいと考える人が出てきたのです。……てか、お嬢。ヘレシーの歴史に詳しいのですか?」
「え?」いきなり、お嬢ってなんだよ。
「いや。つい十年ほど前まで、我々をモルモットのように扱う、つまり捕らえて生きながら解剖するような冷酷な研究者がいたのです。巫術(ふじゅつ)のエネルギー源を追求したいがために虐殺(ぎゃくさつ)を行ったりしてね。ただ、彼はブレイブタウンの司法に裁かれ、流刑(るけい)に処されました。」
「その時に、犯行の証人となり、ヘレシー擁護(ようご)の立場をとった人権運動家が、トランスキ夫妻なんですよ」彼は訊いてもいないのに、つらつらと説明してくれた。
「なるほど!魔法隊長のご両親というわけね」
「ごもっとも。ペルセウス王国に仕える近衛騎士にしてエリート魔法戦士のシルバー・トランスキの二親(ふたおや)です」
 ああ、なるほど。ケイプもヴァレルも恐れるシルバー・トランスキ。暗黒騎士とも呼ばれる彼は、私の家庭教師のお兄さんでもある。素顔を見たことはなく、とても謎めいた人物だ。ようやく話がつながってきたよ。
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