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転生王女と赤い薔薇

+30+ 二人の救世主

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 夕闇が迫り、蝋燭が一本追加された。長さの違う二本は、各々一筋の煙を立てながらじりじりと燃えている。薄暗くお互いの顔は良く見えなかったが、吐息はほんのりと感じた。
 レッドローズの話は、神話の時代にまでさかのぼっていた。
「ドラコ、ペガスス、ポエニクスといえば、この世を占める大陸の名であるのはわかると思うが、神代(かみよ)の壮絶な戦いによって、これらの大陸が生まれたという神話は知っているな」
「ええ。でも、それは“神話”だけどね」
 うん。まあ、この世界は私の考えたファンタジーだから、神話も事実足りえるんだけど。そこは言わないでおく。
「ああ。大陸誕生の日は、人類のいなかった時代のことだ。この神話は文学的に価値があるかは別として、事実かどうか確かめようのないことである。むしろ、事実ではないという意見の方が多い。だが、その問題は伏せておいて、……これらの大陸が一度海に沈みかけたことがあるというのを君は知っているか?」
「大体千年前に、海底で地震が頻発して大陸が沈みかけた、という記録が残っているのは知っているわ」
「その時、一人の魔法使いが大陸の沈下を防いだ、と次のくだりに書いてあっただろう」
「ええ。家庭教師に教わったわ」
 よく諳(そら)んじていたもの。転生者と自覚しながらも、この世が自分の想像の産物であるという認識に覚醒する前、のんびりと生きていたものだわ。あの頃に戻りたい。
レッドローズは真剣な顔をしている。なるたけ、表情に出さないよう努めているらしいが、体がこわばっていくのを隠しきれていない。興奮気味に彼は息を継いだ。
「その魔法使いは、海の水を一箇所に集め大陸が全て沈んでしまうのを防いだ。そしてもう一人、大陸の精霊達の怒りを静めるための役を負った者がいた」
 蝋燭の炎は激しく揺れ、亡霊のような空気の揺らぎが出来た。背中がうすら寒い。
「その者こそ、“我が祖”。今は名前すら忘れ去られてしまった哀れな“我が祖”は、我々一族を作った始まりの人間だ」
 彼はことさら“人間”を強調して言った。私は得体の知れない不安に襲われた、ふりをしたわ。よっ、演技派女優!レッドローズは、私の不安(演技)を感じ取ったのか、自分の興奮を和らげるために話を少し逸らした。
「魔法使いの英雄は、オリビア、お前も知っての通り、ペルセウス王国城下の広場の名前にもなっている。“ヴェルサーモロ”その人だ。その五百年後には、彼の子孫のライラ・アンジェラスが女性でありながら魔法戦士団を創設した。ヴェルサーモロは、ペルセウス王家の祖であると共に、西方テイルランドの侯爵家にもその血を分けた。余談(よだん)になるが、魔法使いの血は王家よりむしろ侯爵家に受け継がれ、魔法戦士隊長が代々輩出されている」
「ええ……」
 今の王家にはテイルランド侯爵家ほどの魔力を持ち合わせた人間がいないことくらい知っている。それはなぜかといえば、理由は簡単。テイルランド家は魔術師の血を守るために、王家以上の近親交配を繰り返しているから。そのため、才長けた者もいる反面、長く生きられない奇形や異常性向な人間も多い。
 私は、シルバーの前々任隊長補佐ヒョートルを思い出した。テイルランドの領主で、ヴェルサーモロの血を引く遠戚だったが、能力はずば抜けて高かったものの性格に問題があり、隊長にはなれなかった。あの残忍なことで暗黒騎士と言わしめるシルバーでも隊長になれたのに。

「先に精霊の話をしておこうか。我々ヘレシーのほかに彼らを見ることのできるものはエルフくらいだからな」
 精霊について尋ねるタイミングを失(しっ)したので、気を回してくれたらしい。読者にとってはありがたい。本題ではないんだけどね。冗漫(じょうまん)じゃなきゃ、何でもいいんだが。
「エエ。オネガイシマス」私の片言にレッドローズは怪訝になりながらも話し出す。
「この世界は、精霊で満ちている。三大陸をそれぞれ支配する大精霊の他、万物に精霊が宿っているのだ。我々の先祖は大昔に様々な属性の精霊と契約して、力を与えられた。それが、巫力(フリョク)であり、巫術(フジュツ)の体得によって精霊の力を借りることが出来る。ただし、巫力のない人間には精霊の姿を見ることが出来ない」
「へえ。それで、ヘレシーはみんな巫術が使えるわけね」
「能力に差異はあるが、変異体のゼイガー以外は皆使える。そして、精霊は自分の体にも宿っている。属性持ちの精霊がな。俺の精霊は……」
 と、彼はここで言葉を止めた。私が彼の指の先を凝視しているのに気付いて、頭(かぶり)を振った。
「え?なに?どうしたの?見せてくれないの?」
 炎の精霊なんでしょ。ここで蝋燭の炎を七色に変化させたり、炎の大きさを自由自在に操ったりするのを見せてくれるはずなんだけど。
「やれやれ……。誰も見せるなどと言ってない。このことは話さなくていいことだ」
「えーどうしてー?」
 なぜに?
 なぜにそこも小説と違う?意地悪設定。ハードモード。スクイナフみたいなツンデレタイプはもういらないからね。
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