スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←+35+ 裏切られた異端 →+37+ 化け物たちの齢
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png 活動報告
  • 【+35+ 裏切られた異端】へ
  • 【+37+ 化け物たちの齢】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

転生王女と赤い薔薇

+36+ 待ち受ける試練

 ←+35+ 裏切られた異端 →+37+ 化け物たちの齢
「いつの日か見世物にも飽きてしまうと、王国の人間は呆れたことに、彼らに食事を与えるのも忘れるようになった。そこで、飢えたヘレシー達は隙を見計らい、今まで隠していた巫術(ふじゅつ)を使って命からがら脱獄(だつごく)したのだ。男女のペアに別れて散り散りに逃げたのさ。しかし、ペルセウスに残って身を潜めていた者達は、魔法戦士団に捕まってしまった。逃亡中に人を負傷させたかどで裁判も無く処刑された者以外は、悉(ことごと)く檻(おり)に戻されたが、まもなく全員が疫病(えきびょう)で死んだ」
「ベイスンに辿り着いたヘレシーは、その時海に出た人達だったのね」
「そう。二組の男女が商船に乗り込むことができた。いわゆる密航さ。それは、開拓途上の“勇者街(ブレイブタウン)”、それから海を隔てて南にある“竜鉱山(ダイナスマイン)”に資材を届けに行く船だった。だが、航海の途中、やはり彼らがヘレシーの化け物だということが発覚し、船長にすぐさま船から下りろといわれて、そしてあろうことか五百年前の屈辱(くつじょく)を繰り返した。彼らは乗組員に追い立てられて、海に突き落とされたのだ」
オ「……」
ス「……」
サ「……」
ス「なんか言えよウンコ」
オ「はあ?」ふざけんなクズイナフ。
ジ「それで、無事だったのですか?」
 わっ。いつの間にか、ジュナイが戻ってきていた。私の隣に座って、興味津々に炎の揺らぎを見つめているじゃないの。そして、私が言うべき台詞を代わりに言ってくれた。口真似までしてくれて、本当にうざい。
「ジュナイ。グラナトの様子は?」サイザールが怪訝な顔をして問う。
「すやすや眠っています。熱も下がりました」
「良かった。姫のおかげだ」ほっと胸をなでおろすサイザールに、
「いいから、続けてくんろ?」と返す、目を潤ませている、なんだかなーのジュナイ。
 私も目に涙でも浮かべて小刻みに震えていた方がいいのかしら。

「ここからは俺が話してやる。俺たちの先祖がどうやってヘレシーベイスンにたどり着いたかをな」
 余計なことを喋らないための監視男がしゃしゃりでて話し始めた。
「彼らが船から海に突き落とされた後、商船は嵐に遭(あ)って転覆(てんぷく)した。二人のヘレシーが浜辺で意識を取り戻した時、沈没した商船に乗っていた船長以下数人の乗組員どもが同じように砂浜に打ち上げられていた。ヘレシーは、その時容赦なく彼らの首を絞めて全員を殺害した」
「……」
「そこ、驚いて目をかっ開くところですよ」と、ジュナイ。
 通常のオリビアならね。両手で口を覆って、恐怖の眼差しでクズイナフを見ていたでしょうよ。私も臨場感を出すために、目ン玉ひん剥(む)いてみる。
「あまりやりすぎると、落ちちゃいますよ(目玉が)」
 ジュナイがさりげなく耳打ちで忠告するも、サイザールはすでにひいている。ああ、ちょっとホラー映画のフランス人形みたいになっちゃったかな?白髪だし、怖いよね。
「お前は今、奴らを殺すこともなかったんじゃないか?と思ったか。いいか、彼らは船から突き落とされたんだぜ?一緒に船に乗り込んだ二人の仲間は溺(おぼ)れて行方知れずだ。後には同父同母の兄妹しか残らなかった。同士を亡くした怒りと嘆きに報いて奴らを殺したのだ」
「確かに。殺して当然だわ」
 私の大切なエドガーお兄様がもしも暗殺されたら、怪物を追いかけるヴィクター・フランケンシュタインの如く、犯人を地の果てまで追いつめて見せるわ。そして、デス・クリムゾン(笑)で闇へと葬り去る。それが報復というものよ。
「バカのくせに物わかりがよいな。だが、こちらの状況は一向に良くない」
「バカは余計よ!」
 スクイナフはため息をついて、再び語りだす。知性のかけらも感じないが、憂(うれ)いに沈んだ顔だ。
「兄妹は、ダイナスマインからブレイブタウンに渡り、険しい山脈を越えて高原地帯に至った。そして、湿地の少ない石灰岩質の土地、つまり今のヘレシーベイスンに住み着いた。彼らは人間達を恐れ、二度と人里(ひとざと)に姿を現わさなかったが、我が祖の遺志のために子供を作り育てた。そのようなことが幾世代にも続き、閉ざされた社会の中で我々は再び増えた。しかしながら、自ら船を作り世界に出て行った頃には、我々は人間から派生した史上最悪の化け物とみなされていた。すなわち、絶滅したとされているものの、人間との結婚を禁ずる法律が出来ていた。近親交配というタブーを犯し続けてきた我々との間に子供を作ると、人間の尊厳が汚されると。悪い種が増えていくというのだ」
 スクイナフは、ここまで言うと首を横に振って、ソファーに深く凭れてしまった。その先を語るのが嫌になってしまったのだろう。わかるわ、その気持ち。原作者だけに。私もため息をつきたいくらいだもの。
 ジュナイがスクイナフの顔にかかった長い前髪をかき上げようとするが、うざったがってその手を払い、そっぽを向いた。私には、彼の暗澹たる思いが背中を通して伝わってきたわ。拒絶されたピエロの寂しそうな笑みが炎に仄明るく照らされている。誰も彼も語るのをやめてしまった。
 真向いに座っているサイザールを見やる。彼は何か別のことを考えている風だったが、私の視線に気づくとふと紅茶に目を落とした。
「そう……ここからが大事な話なんだ。過去の話以上に」彼は小さく呟いた。
関連記事
スポンサーサイト


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png 活動報告
  • 【+35+ 裏切られた異端】へ
  • 【+37+ 化け物たちの齢】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。
  • 【+35+ 裏切られた異端】へ
  • 【+37+ 化け物たちの齢】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。